2008年・新年2008年01月02日 20時10分42秒

 2008年のお正月です。
 とうわけで、この日記も満2歳を迎えることになりました。特にテーマを決めず、書きたい事をつらつらと・・・。というスタイルで今まで来ましたが、これからもこういう感じでいくことでしょう。誰かに話したいけど、話したらすぐ忘れてしまうような、ちょっとしたつぶやきから、ちょっと残しておきたい、ちょっと感動した出来事etc・・・。情報発信的なブログとは一線を画して単なる日記になっていますが、まぁ、自分の記録として良しかな、ということで。

 と言うわけで(?)、今日の日記は池澤夏樹氏の小説の始まり部分の紹介をしようと思います。年末に本屋さんで、池澤夏樹氏の個人編集の世界文学全集がでるという案内を見て、池澤夏樹氏の事を思い出しました。10代後半から20代初めにかけて、池澤さんの小説を読みました。「スティル・ライフ」「南の島のティオ」「夏の朝の成層圏」「バビロンに行きて歌え」「マシアス・ギリの失脚」「真昼のプリニウス」どれもこれも、「まったく初めての」物語という感じがしました。どんな小説でも、初めて読んだら始めてのはずなのだけど、池澤夏樹氏の小説は、「本当にまったく初めて」という感じがしたのです。なんだか上手く表現できないけど。

 勿論、「南鳥島特別航路」「インパラは転ばない」などの紀行文・エッセイも自然との向き合い具合が心地よくて、「ハワイイ紀行」もまだ読めてないけど、じっくり読んでみたいです。

 「スティル・ライフ」から

 この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
 世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらにも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
 きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。

 でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
 大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨からなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
 たとえば、星をみるとかして。

 二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力を余計なことに使う必要がなくなる。
 水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。
 星を正しく見るのはむずかしいが、上手になればそれだけの効果があがるだろう。
 星ではなく、せせらぎや、セミ時雨でもいいのだけれども。
(「スティル・ライフ」p9~10・中公文庫)


 「精神世界」に前世やチャネリングや、そういうものを自分が求めないようになってきた。生まれ変わりがあろうがなかろうが、(ひとつの考え方としては面白いけど)どっちでもよくて、自分と世界との折り合いをつける姿勢が大事なんだと思うようになってきた。

 いろんな人の話を聞くのは楽しいけれど、これからは、自分の価値観を確立していく時期にきているのだと思う。 人の言うことの中には真実は無くて、結局自分の真実は、自分の中にしかないのだ、と思う。
 自分の世界と周りの世界(「先生」と呼ばれる人の意見も含む)の折り合いをつけること、が今年からのテーマです!

 今年も、よろしくお願いします。

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