河合隼雄さん2007年07月24日 23時35分47秒

 今日久しぶりに新聞を読んだら、訃報が載っていました。19日に亡くなられていたのですね。その前から、脳梗塞で倒れられていたとのこと。享年79歳だそうです。男性の平均寿命よりは少し長生きですが、もっと長く生きてくださると思っていました。

 同時代を生きた方で、私の考え方にかなりの影響を与えてくれたのが河合隼雄さんでした。河合さんのユングの解釈は難しいですが、(河合さんの解釈云々よりもユングが難しいのでしょうが・・・)物語と深層心理との関係、書けば当たり前のように思える事が、河合さんの手にかかると、本当の魔法のように奇跡の物語に変わってしまう。患者さんが本当に癒される時には、深い感動を伴うという話には、それを読むだけで、癒される力があるような・・・。

 もともと河合さんの本を読むようになったのは「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」という本を読んでからです。ハルキさんの小説やエッセイも個人主義の人が生きていく中で、不思議と癒しの効果があるものもありますが、やはり心理療法家、河合さんの癒しは、とても深いようです。

 河合さんは、心理療法の事を「患者さんが自分で治っていくプロセス」を見守るだけと言い、その見守ることは「命がけの作業」といいます。療法家はなにもしない。そのことがどれほど大変で大切なことか。カウンセリングの講座に通って痛感しました。私にはできません・・・。本当に「なにもしないことは、命がけ」ですね。だから、私は自分の出来ないことをしっかりと理解して、出来ないことはしないように、出来る事だけするように出来るだけ心がけようと思いました。

 河合さんは今、肉体を離れて、いのちの真理を知ったのでしょうか?それは、いろいろな患者さんを通して知った、たましいの考え方と同じだったのでしょうか?答えは風の中です。

 それにしても河合さんの遺した沢山の本を読むことは楽しみです。私もいつかたましいの存在になったときに、河合さんにお会いして恥ずかしくないように(?)「いい加減がいい加減」な感じで、「こころの勝負は51:49、だけどサッカーだったら2:0で圧勝」みたいな感じで、「晴れの日も雨の日もある」みたいな感じで、生きていこうと、心を新たにした次第です。